【サボテン教室】奇想天外(Welwitschia mirabilis)の実生


(本記事は、旧ホームページの2003年9月9日の記事を再掲したものです。)


今年の春頃、奇想天外の種子が大量に趣味家の間に出回ったようです。すでに播種された方も多いと聞いていますが、海外のホーム・ページ等とは異なった方法で発芽に成功された方の情報をお知らせ致します。





kisotengai01 原産地の奇想天外
 下記写真の様に、奇想天外の種子には羽の様な薄皮がついています。まず、①その薄皮を取り除きます。続いて②の様に尖った方から切れ目を入れ、外皮を上下に割り剥がします。そうすると③の様に桃や梅の種子(固い部分)にあたる白色の物が出て来ますので、その部分のみを播種用土に並べ、場合によっては軽く覆土します。種子や用土を消毒する為にベンレート溶液に漬けたり、発芽促進の目的で種子をメネデール溶液に潜らせたり、それぞれに工夫がある様です。
kisotengai02 ①奇想天外の種子 kisotengai03 ②薄皮をとった種子
kisotengai04 ③外皮を完全に除いた種子 kisotengai08 奇想天外実生床
発芽後は直ぐに定植する場合と、播種用土の下に、予め培養土を敷いておく方法が考えられます。今回は過去に実生から奇想天外栽培を成功させた経験をお持ちの盛岡市=赤石幸三氏からの栽培のヒントを掲載いたします。
現在も南アフリカの種苗業者から安価に種子の購入が可能ですので、皆様もこの面白い植物の栽培を体験なさっては如何でしょうか?(Webシャボテン誌事務局)
<赤石培養土と栽培法>
奇想天外の主根は発芽直後はまだ細くてとても弱いですから、やはり植え替えには注意が必要です。植え替えを実施するもの以外に、一部は予め培養土を下に入れておき、そのまま植え替えずに残しておくこともあります。植え替え用土は定植後、2~3年は植え替え無しを前提とし、そのため粗めで水はけのよい用土、赤玉主体でなく軽石のようなものをメーンにして赤玉や腐葉土を加えたものを使います。赤玉主体ですと1年ぐらいで目詰まりをおこし根に良くないからです。
kisotengai06 発芽直後 kisotengai07 実生5日目
又水は切らさないようにと聞いたことが有りますが、年中ビシャビシャは良くないですから、そのためにも水はけの良い、少し粗めの配合土が適当と思われます。奇想天外の根は2~3本ぐらいに枝別れしてそのまま鉢底まで伸びてしまいますが、以前深鉢の中頃に鉢底用ネットを敷いたらそこで根がぐるぐる巻いて枝別れし、はみ出した根が下へ伸びて、効率のよい栽培ができました。今回も又やってみようと思います。

以上

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