【サボテン教室】ダシリリオンの名誉回復


(本記事は、旧ホームページの2004年1月15日の記事を再掲したものです。)

 

 




熱川バナナワニ園研究室 学芸員 清水秀男 氏
https://www4.i-younet.ne.jp/~wanien/
 ダシリリオン・ロンギッシマム(Dasylirion longissimum)は広い芝生のある公園の点景としては最高のアイテムです。リュウゼツランのような危険性はないし、他のダシリリオンのような痛い鋸歯もないし、寒さには強いしで是非皆さんにも育てていただきたいですね。本種は実生苗の生育も旺盛で、10年も我慢すれば立派な造園素材になります。

添付画像の植物はこの道の先駆者故玉利幸次郎氏の実生になるもので、5号鉢でいただいた株を10年程前に定植したもので、多分実生20年位のはずです。2株並んでいますが、右の株の葉の広がりが2.6m、高さが1.8mです。これらの株はいただいてから定植するまで何年もいじめられていたため、余り大きくなっていませんが、素直に育てていればすでに幹が立つ程の株になっていたはずです。上手な方なら10年でこの大きさにできるでしょう。


Dasylirion longissimum
姿と生育スピードの比較のために、見た目がそっくりのオーストラリア産のススキノキ(Xanthorrhoea quadrangulata)を紹介します。この株は伊豆稲取のバイオパークの準備段階で開花した株から採った種の実生で、私の植物の師飯田久氏が育苗したもの。多分今年で実生30年くらいのはずです。葉の広がりが2.3m、高さが1mほどでようやく幹が15cm程立ち始めました。ボリューム感としては前種の1/4程度でしょうか。ススキノキの類の生育は非常に遅いのです。

Xanthorrhoea quadrangulata
もう1つ比較に画像を添付するのはメキシコのラウーさんが種を送ってくれたユッカ・トンプソニアナ(Yucca thompsoniana)です。葉が青白くて姿の端正な私の一番好きなユッカですが、この並んでいる3株は私の実生でちょうど20年になります。生育の良い順に地植えしたため、時間差が生じて余計生育に差がついてしまいましたがどれも同い年です。大きな株で葉の広がりが1.4m、高さが1.8mあります。

Yucca thompsoniana
私は念願かなったマイホームでもこれらを植栽していますが、乾燥地の雄大な風景を再現するのにはやはりこういう大型の植物が不可欠です。何十年か後にはソテツの植え込みのような見事な幹が出来ていることを夢見ています。
キリンウチワ接ぎについて
 キリンウチワ接ぎについて平尾さんが私の記事から引用しておられましたが、昨年接いだ苗が今の時期どんな状況か画像で紹介します。画像は緋冠竜と刈穂玉です。両方とも長野の両角さんにいただいた実生苗を昨年7月9日に接いだもので、丁度半年です。ご覧の通りこの寒い時期でも素晴らしい刺を発生しており、直径は既に4cmを越えています。ですから台木を衰弱させないようにたっぷり潅水しています。

緋冠竜

刈穂玉
 確かに今年は暖かく、露地に植えたエンジェルス・トランペット(Brugmansiasanguinea)が今日も咲いていますが、0度近い日が何日も来ていますし霜柱も見ています。寒さに弱いと言われるキリンウチワですが、結構丈夫なんですよ。勿論温室は無加温で素ガラスに白寒冷紗の内張りだけです。皆さんの栽培の参考にして下さい。