【サボテン教室】ルミナリエさんの質問にお答えします。(白斜子) webshabotenshi2017年7月19日 Tweet (本記事は、旧ホームページの2004年3月16日の記事を再掲したものです。) ルミナリエさんの質問にお答えします 平尾 博 2/22にルミナリエさんから質問のメールをいただきました。 「最近 初心者の方から質問を受けたのですが、白斜子はマミラリアですかと聞かれソリシアと答えましたが、平尾さんのポケット事典ではマミラリアになっていますが、私の書物ではすべてSolisiaですが? 1 いつマミラリア統合されたのですか? 2 学名も変わっていますpectinata~pectinifera 3 乳汁体質だからマミラリアに統合されたのでしょうか? 以上宜しくお教えいただきたくお願いします。」<はじめにSolisia属について>Solisia属が初めて設けられたのはBritton&Rose:The Cactaceae(1923)である。第4巻64頁に 13. Solisia gen.nov.が登場し、この属名はMexico市の熱心なカクタス研究家Octavio Solis氏に敬意を表わして名づけられた。1種のみが知られている。として 1.Solisia pectinata(B.Stein)の解説文がある。(省略)解説に先立ち本種の履歴が記されている。下記の通り。 Pelecyphora pectinata B.Stein 1885 Pelecyphora asellifoimis pectinifera Rumpler 1885 Pelecyphora asellifoimis pectinata Nicholson 1888 Pelecyphora asellifoimis cristata Watson 1899 Mammillaria pectinifera Weber 1898 本種はPelecyphora属の一員として登場し1898年にWeberがMammillaria属に編入したと言う歴史がある。 Britton&Rose本は1919から5年をかけて1923に完成した画期的な大作でサボテン界に大きな影響を及ぼした。 R.CraigがThe Mammillaria Handbookを1945年に出版した。マミの専門書でありながら白斜子は記載されていない。ブリトン・ローズの分類に従った為と考えられる。その後出版されたK.Backebergの Die Cactaceaeはご存知の通り一世を風靡した大著で、著者の独自の考えを盛り込んだ新分類が随所に見られるがSolisia属についてはブリトン・ローズを踏襲している。 さて、以下が@答です。 白斜子 Q1いつMammillariaになったか。 私の調べた限りではJ.Pilbeam:Mammillaria-A.Collector’s Guide(1981)が最初です。本書の106頁にM.pectinifera F.A.C.Weberとして写真つきで解説文があり、下記の「Huntの意見をとり入れるならば」と断ってあります。これに続いて出版されたD.Hunt:A new View of Mammillara Names(1983)は勿論、E.F.Anderson:The Cactus Family(2001)もPilbeamと同じ見解でSolisiaだけでなく、Dolichothele、KrainziaなどもMammillariaに統合する見解が定着したと思われます。 Q2学名が変っている。 pectinataがpectiniferaになったのはブリトン・ローズの項でお気づきの通りWeberがマミラリアとして初めて記載した種名がpectiniferaだったから、それが優先されるのでしょう。 Q3乳汁体質だからマミに統合されたのか。 Britton&RoseのSolisia属説明文の中にmilky、having the juice milkyの語があり、乳汁体質にも関わらず新属Solisiaを創設した人もいるのです。 貴殿が調べた書物はすべてSolisiaになっている、という事情は多分1923~1981の間に出版された本だからでしょう。 Tweet