【サボテン教室】名人の栽培場見学2 奈良県 岡本治男氏


(本記事は、旧ホームページの2003年10月7日の記事を再掲したものです。)

冷涼な季節となり方々からメセン便りが賑やかに聞かれる頃になりました。今回は奈良県宇陀郡榛原町在住の岡本治男氏の栽培場をご紹介致します。





岡本氏は大和富士と異名のある額井岳を背負った広大な南斜面の自宅に20坪温室1、4坪温室1、ハウス3、その他実生、育成用のフレームを各所に設置して栽培を楽しんでおられます。
 ① 岡本氏温室全景外観  ② 岡本ご夫妻
 ③ 温室内巨大金鯱群  ④ 柱サボテンと岡本氏
 85歳の今年も150種の種子をメサから導入、すでに播種は完了で発芽を待つばかりの状況でした。栽培品は2つのカクタス・ハウス以外は70%がLithops、20%がConophytum、残りの10%が各種メセン他の割合との事、半世紀を越えた栽培歴で習得されたノウハウを駆使しての植物は、多数の由緒正しい健苗が迫力満点で納得の作柄でした。
 ⑤ 岡本氏Lithops  ⑥ 岡本氏Conophytum
 ⑦ 岡本氏本年実生鉢  ⑧ 岡本氏自家種子によるDeplosoma実生
(緑に見えるのが今年の初葉)
 加温部分は灯油を使用、メセン成長期の9・10月は朝5時から温室に電灯を点けての皮剥きで1日が始まり、場合によっては畳座敷に植物を持ち込んでの植え替えで奥様の顰蹙をかっておられるとか。
栽培品の大部分を占めるメセンはサイズ別、播種年度別に角鉢や丸鉢に名札と共に整然と植えられ、保湿用土を敷いた腰の高さの置き台に見渡す限り並べられていました。
写真の植物は今年の9月の残暑が長引いた為に、植え替え直後で充分に膨らんでいないと言う事でしたが、Lithopsは既に着蕾、Conophytumは独特の文様が美しく現れた物が目に付きました。
 ⑨ 岡本氏温室内部  ⑩ 国民保養センター内碁会所で
指導中の岡本氏(アマチュア6段)
 ⑪ 岡本カクタス  ⑫ 岡本実生鉢苗
 なお、下記表は岡本氏がLithopsの種子の形態、重さを調査された研究の一部です。同じ植物でも種子の形状にかなりの差が見られ、実生を数多く手掛けられると発芽率にもかなりの違いがあるとの事です。岡本氏の体験からは採り播きよりも1年程度寝かせた種子の方が良く発芽する傾向が強いそうです。
  品種
形状
日輪玉 ザクロ玉 神笛玉 微紋玉 露美玉 福寿玉 弁天玉 マユ型玉 曲玉 朝貴玉 南蛮玉
薄褐色 黄褐色 褐色 黄褐色 黄褐色 黄褐色 濃褐色 黄褐色 褐色 黄褐色 濃褐色
扁平 扁平 扁平
ひだ あり あり あり なし あり あり あり あり あり あり
斑点 あり なし なし あり あり なし なし あり なし あり
大きさ 極小
重さ
(数/g)
4900 5700 8500 7800 4600 14000 3000 12000 5800 19000 34000
粒数
(数/果)
400 300 260 560 350 900 300 350 560 920 2500

注1:重さは1g中の種子数
注2:粒数は平均的なカプセル5果平均1果中の種子数