【サボテン教室】 サボテンの実生


(旧ホームページ2003年5月8日記事からの転載です。)


 今回、事務局宛てにサボテンの実生に関してのご質問が重なりましたので、この機会に昨年講習会用に作成した資料を転載致しました。初めての方も失敗無く実生をお楽しみ頂く為のご参考になれば幸いです。事務局
 サボテンも多肉植物も種子を播いて殖やす事が出来ます。沢山の苗が欲しい時や変わったものが出る事を期待する時に行います。
① 種のとり方
普通は違う株を同時に開花させて、花粉を媒助、結実させます。受粉したものは数日で子房が膨らみ、通常1~2月で完熟します。
果実が完熟したら種子を取り出し布等に包んでもみ洗いし、陰干しにして冷蔵庫の野菜室などに保存すると良い状態を長く維持出来ます。一般的に種子は新鮮な程発芽し易いですから、その年に播くか、遅くとも翌年の春には播くようにしたいものです。
tanemaki03 メロカクタス・赫雲の種子
② 種子を播く時期
加温して発芽に必要な温度が確保出来るなら、いつでも可能ですが、普通は4月~10月頃までが適期です。その方が後の管理も楽に出来ます。
③ 発芽に必要な温度
多くの種類は20~40度位で良く発芽します。日中にこの位の温度があれば夜間との温度差があっても問題は無いようです。
④ 播種用土
初めから肥料分を加えた用土に播く場合と、清潔な砂、赤玉土、パーミキュライトなどに撒く場合があります。
⑤ 播き鉢
3~4号鉢(10~12cm位)までの丸鉢、又は浅鉢を使います。(余り鉢が大きいと、置き場所などの点で扱い難くなります)
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浅鉢2号サイズ
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電子レンジで殺菌
⑥ 種の播き方
鉢穴を網等でふさぎ、用土を7~8分目入れ表面を平らにします。全体に水を充分に吸わせ、出来たら蒸気消毒か電子レンジに入れて殺菌して下さい。用土が充分に冷めてから、適当な間隔に種子を播きます。細かい種子は乾燥した砂に混ぜて播くと均等に播く事が出来ます。一般的には覆土はしません。
種子を播いた鉢は、すりガラスで蓋をし、直射の当らない場所に置き静かに扱います。すりガラスが入手出来ない場合は、イチゴ等の入っていたパックを利用し、ティッシュ・ペーパーで覆って光線の量を調節して下さい。(ガラスを使う場合は必ず切り口にテープを巻いて、手指を怪我する事の無いよう工夫して下さい)
⑦ 発芽までの管理
毎日少なくとも一回は鉢底から給水し、特に表面が乾燥しないように管理します。水が切れると温度が上がった時に悪影響が考えられるので、乾燥には注意が必要です。腰水(水を張った水盤などに鉢を常時漬けて置く)をすると手間は省けますが、水が腐ったり、苔が生えて環境が悪化する事があります。
市販の添加物を利用したり、こまめに水を取り替えましょう。
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水切りカゴで給水と排水
⑧ 発芽後の管理
一般的には、播種後3~4日で発芽が始まり一ヶ月位の間に発芽を完了します。倒れているものは起こし、殻を被ったものは取り除いてください。外気に慣らすため鉢とすりガラスの間に割り箸などを挟み、通風を図ります。実生苗の管理
大体発芽し終わったら第一回目の移植をします。発芽後すぐに実施する方法もありますが、実生苗は小さく柔らかいので取り扱いには注意が必要です。
市販のサボテン培養土などを細かい目の篩にかけ微塵を抜いた細かめの用土を用意します。鉢底に排水を図り、その上に培養土を敷き、更に、その培養土に清潔な砂、又は赤玉土細粒、芝の目土等を上乗せします。その部分に、ピンセット、割り箸等を使って移植します。植え方は密集させた方が後の生育がよく、目安としては植物がくっつきあうようになったら、植え替えを繰り返すと良い結果を得られます。実生一年くらいまでは、乾燥は禁物ですので気をつけて柔らかい光線の元で管理します。噴霧器などで表面が乾燥しないように、半年くらいの間の、特に乾燥し易い季節には鉢に蓋を被せ、鉢と蓋の間に隙間を作って苗の管理をする場合もあります。通常だと春に播いた物は冬にはその植物の特徴が現れてきます。 一年近くたてば通常のサボテンの管理に移行させて大丈夫です。