(本記事は、旧ホームページの2005年1月11日の記事を再掲したものです。)
リトープス雑考 ② 集めてみたいリトープスの品種 奈良県 岡本治男 |
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さて、リトープスを集める場合、前記160種を集めるのは必ずしも容易とは思えませんし、又、その必要があるかどうかは疑問です。初心の方、又栽培場に制限のある人は、まず、丈夫な品種、又は、自分の好みに合った品種を少しづつ集めるのが好ましいのではないでしょうか。人それぞれ好みが違います。どんな品種が良いかは難しいですが、私なりにお勧め品種の解説をしてみます。ただしこうした植物の特徴は百聞は一見に如かず…文章は簡単に致します。 | |
著者の温室 |
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①日輪玉系(aucampiae subsp.aucampiae var. aucampiae) 大型で丈夫、赤色系の美種揃いだが次の5種をお勧めする。○日輪玉(aucampiae var. aucampiae) Lithopsの代表的品種。頂面が赤褐色又は褐色、黄褐色と自生地(Cole No.)によって異なるが市販品が多く出回っているから、好みに合ったものを揃えると良い。 ○ クルーマン(aucampiae var. Kurman form) C-012は頂面が赤く美しい。C-325は頂面が緑色を含んでおり変わっている。 ○赤陽玉(var. koelemanii) リトープス中最も大型、和名通り頂面が最も明るい赤色になる。 ○ 光陽玉(subsp. euniseae) 中型種。頂面は赤褐色。鹿角状に分岐した模様が美しい。 ○ 陽月玉(subsp. euniseae var. fluminalis) 中型種。頂面は灰色系又はチョコレート色で、細い線模様から塗りつぶしたものまで色々ある。 |
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②柘榴玉系(ザクロ玉 bromfieldii) 中型種で分球して群生株になり易い。○ ザクロ玉(bromfieldii) 赤色の頂面にくぼんだ溝が刻まれ、隆起した島と太い線模様が柘榴の実を思わせる。線模様は色々あるがCo-40が一番赤い。 ○ グラウディーナエ(var. glaudinae) 金属的な光沢を帯びる無数の透明点が特徴。頂面の色には幅がある。 ○ 鳴弦玉(var. insularis) 頂面は灰褐色から橙褐色。黄緑色の突然変種・黄鳴弦玉(subphures)は硫黄色の意味で色彩は特徴的。 ○ 雀卵玉(var.mennellii) 濃紫褐色の枝模様は溝となり雀の卵を思わせる美種。 |
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③神笛玉系(ジンテキギョク dinteri) 小型種。株立ちになりやすいが古くからある割に普及していないのは性質が弱いからか…。 ○ 神笛玉(dinteri subsp.dinteri var. dinteri) 窓の中に鮮やかな血赤色の斑点があるのが特徴。 ○ フレデリッキー(subsp. frederici) 不透明な頂面に無数の点があって美しい。 ○ 多点神笛玉(subsp.multipunctata) 学名は斑点が沢山あるという意味で多点と名付けられたが実際は赤い斑点は線となった頂面を覆っているので基本種とはかなり違った感じを受ける。 |
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④宝翠玉系(divergens) 体系はY字型で葉が広く開くのが特徴。変種の紫宝翠玉(var.amethystina)はやや大型になりC-271は桃色掛かった紫色を呈するので推薦したい品種。 |
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⑤麗虹玉系(dorotheae) 本種には変種が無いので非常に分かり易い。半透明の窓は光線の強さで灰緑から赤緑まで変化し、窓の中の血赤色の鮮明な模様が美しいので一番人気のある品種。中型種で良く分球する。1株は持っていたい品種。 |
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⑥微紋玉系(fulviceps) ○ 微紋玉(var.fulviceps) 透明な点が隆起して頂面全体に散在するので微紋玉と名付けられたのではなかろうか。Coleナンバーが6つあり地域差が大きいので全種集めてみるのも面白い。C-70が最も赤みが強く、C-278は最も濃褐色。 ○ 黄微紋玉(cv. Aurea) 黄緑色の突然変種で白花。 ○ 楽地玉(var.lactinea) 頂面はクリーム青色や桃色掛かった灰白色で非常に明るい感じがする。 |
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⑦源氏玉系(gesineae) ○ 源氏玉(var.gesineae)中型で灰黄又は灰褐色。頂面の模様が美しく他種と紛らわしいことが無い。 ○ 花輪玉(var.annae)基本種よりやや大型で頂面の島もベージュ色で美しい。 |
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著者の温室の冬季管理状況 |
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⑧双眸玉(geyeri) 淡緑色の小型種。分球して株立ちになりやすい。 |
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⑨荒玉(あらたま)系(gracilidelineata) ○ 荒玉(subsp.gracilidelineata)ごく大型になる白色系美種。細い溝が線となり網目模様をなす。表面の色は白か淡黄、黄灰色など産地によってかなりの差がある。 ○ ワルドローニアエ(var.waldroniae)基本種よりさらに模様の凹みが深く網目の線が褐色から赤色で美しい。基本種よりもやや小型。 ○ 舞嵐玉(subsp.brandbergensis)頂面はベージュ色、黄褐色、桃褐色など、様々だが線模様が鮮やかな血赤色、紫赤色で美しい。 |
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⑩巴里玉系(hallii) ○ 巴里玉(var.hallii) 整然とした細かい網目と明瞭な縁が特徴。頂面の色は産地によって濃淡様々だがBrown formのC-135 C-136は濃褐色、他は灰色ないし褐色系統のものが多い。同定の難しいグループ。 ○ 褐色巴里玉(var.ochracea) 基本種との違いは赤褐色の頂面の色である。頂面が塗り潰したように赤いC-111や黒味を帯びたC-372は変わっている。 ○ 黄巴里玉(var.ochracea “Green Soapstone”) 緑掛かった黄色が特徴だが生長が鈍い。 |
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⑪青磁玉系(helmutii) 体系はY字型で非常に丈夫で群生しやすい。緑系の代表種で他種と交雑することも無く紛れる事も無い。是非持ちたい品種。⑫清澄玉系(セイチョウギョクherrei) 体系はハート型で頂面は丸い。乳白色ないし緑系の中型種。 |
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⑬富貴玉・露美玉系(hookeri) 数多くの変種を持つ大型で丈夫なグループ。褐色系が多いため地味な存在だが群生率が良いので大株になりやすく、初心者向けの品種。○ 富貴玉(露美玉) 紫勲、日輪玉についでColeナンバーの多い品種だが地域差が少ないので特にColeナンバーを揃える意味が無い。 ○ バーミクレーテ(vermiculete form) 赤褐色の線模様が繊細で特に大型になる美種。 ○ ダフネリー(var.dabneri) 窓は無く細かい溝からなる網目が刻まれえる。頂面は灰色掛った青で線模様が美しい。 ○ エレフィーナ(var.elephiina) 象の肌のような灰色。頂面は平らで線模様は不明瞭。 ○ ルーテア(var.lutea) 表面の網模様は粗く濃橙赤色で美しい。 ○ 丸貴玉(var.marginata) 基本種のほかにcerise form(桜色の意)Red brown form(赤褐色の意)など変異が多い。 ○窓丸貴玉(var subfenetrata) 学名は(ほとんど窓で覆われている)という意味で線模様はほとんど見られない。C-175は緑色を帯びた窓、C-019は紫褐色の頂面、など差異が多い。 ○スザンナエ(var susannae) このグループで唯一の淡色系、クリーム灰色、黄白色のものもある。 |
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⑭.寿麗玉系 変異性が高い本種には、2つの亜種(subsp. julii)と(subsp. fulleri)があり、両者間にはかなりの隔たりがあるように思われる。○寿麗玉(julii subsp. julii) ナミビアの花崗岩の砂利の中に自生しているので白色、灰桃色のものが多く、女性的な軟らかさを感じさせられる。群落中に2品種以上が混生しているので、同じコールNo.の種子を蒔いても多くのパターンの苗が出ることが多い。(私はほとんど、アメリカのメサガーデンの種子を蒔いているが、リストにも、このことが明記されているので、種子が悪いのか、変異があるのが正しいのか私にはわからない。他にもこんな例は若干ある) C-064から割れ目に口紅を塗った様な美しい苗が出ることがあるかと思えば、赤線が網目状になった(reticulata form)全く違ったものか生えることがある。又、赤褐色、灰褐色、黄金色など変異が多い。 ○ 福来玉(subsp. fulleri)寿麗玉と同じく変異が多く白色系のC-167、C-171、褐色系のC-259、C-122、C-179等は作ってみる価値がある。特にお薦めしたいのは﨟貴玉で頂面は塗りつぶした青灰色、灰紫、淡黄色等で、外縁部分の放射状の細線模様が美しい。 |
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⑮花紋玉系(karasmontana) 本種も変異の激しいグループで色彩も多岐にわたる。 ○ 花紋玉(karasmontana subsp.karasmontana var.karasmontana) 窓は無く表面は深い溝によってくぼみ、沢山の凹凸が出来ている。表面は乳白色~薄茶色。 ○ 春光玉(var. karasmontana) 頂面の線模様が美しい。 ○ 美薫玉(var.karasmontana ‘mickbergensis’) 本種も幅が広く白薫玉に近いものから赤色の強いC-168まで様々ある。 ○ 白薫玉(Opalina) 頂面に模様が無く乳白色。 ○ シグナルベルグ(Signalberg form) 頂面の太い線模様が美しい。 ○ 愛愛玉(アイアイ玉 var.aiaisensis) 灰白色の頂面に淡青色の透明点が美しい。 ○ 朱弦玉 黄褐色ないし暗褐色 ○ ティッシェリー(var.tischeri) 濃赤褐色の頂面が特徴。 ○ 天来玉(loteritia) 橙色系。メサの種子からは約5%の割合で朱唇玉に近い濃赤色の頂面の苗が得られる。 ○ 琥珀玉(subsp. bella) 頂面が丸く、ふっくらした感じのする中型の美種。非常に明瞭な半透明の窓を持ち4種のColeナンバーがある。地域差が大きい為判別しやすい。C-108は淡緑色、C-143は黄褐色、C-285は淡黄色。(以下、続く) |
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実生 |