① 種子の採取
リトープスやコノヒーツムは殆ど秋に花が咲きます。気温の高い10月頃は一週間くらいの寿命ですが、気温の低い冬に咲くギバエウム類などは一ヶ月以上も花を楽しめます。メセン類は自花受精、自家受精ともにしません。従って株が異っても一本から株分けしたもの間の受精はしませんから、必ず異った種子による苗が2本以上必要です。花は晴天の午後に開花し夕方には閉じますので、日中留守にされる方の交配は家人に頼まれるほかないでしょう。
交配は脱脂綿を細かくちぎり、ピンセットではさんで行います。雑交しない様一品種ごとに脱脂綿を取り替えることが大切です。またコノヒーツムのペルシダム系など、花が小さく蕊が花筒の中に入っているものは脱脂綿が入りませんので、細いナイロン系(釣糸など)の先を指でほぐし、花筒の中に挿し込んで行います。指でほぐすことにより静電気を生じて花粉が着き易いといわれています。
受精した緑色の果実は少しづつふくらみ円形または楕円形になります。4~5月頃完熟し褐色の乾いた状態になれば鋏で切り取ります。これをカプセル(朔果)と呼んでいます。カプセルは封筒などに入れ保存しますが、少量なら冷蔵庫に入れておきますと長持ちします。播種前に種子を取り出しますが、その方法は小皿にカプセルを入れ、40℃~50℃のお湯をそそぎます。水よりも温湯のほうがはるかによく開裂し、手でもみほぐすと容易に種子を取り出すことができます。取り出した種子は小皿の中で数回水洗いし、天日でよく乾かしてから薬包紙等で包んで保存します。
③ 種子の寿命
メセンの種子は殆ど春に採れますが、すぐ蒔いても(取蒔き)生えません。一定の後熟期間を必要とする仕組になっていると思います。カプセルの軟かい紅大内玉やオフタルモフィラム、コノヒーツムのブルゲリー等はその年の秋に蒔いてもよく生えますが、果皮の固い柴勲系や露美玉系はもう一年後熟させてから蒔くほうがよいと思います。私は大抵の種子の発芽可能年数は貯蔵法によっても差があると思いますが、冷蔵庫などで、冷暗庫貯蔵すれば4~5年は大丈夫と思います。