(2016年1月9日:当会理事長の赤石の2003年の紹介記事になります。)
赤石さんは北東北に在住される栽培名人の一人で、JR盛岡駅から北に3キロ程上がった上田の自宅に温室一棟、大小特製フレーム、その他広い敷地内に地植えされた植物各種を栽培しておられます。
温室の赤石さん | 雪の温室 | 植替えを待つ実生 |
温室は家屋南側に沿って設置され、もとはフレームだった場所にガラス室を被せた状態で約540cmx360cm、掘り下げは60cm程度で通路を除く部分が3段の違い棚形式になっています。上部には通風の為に小窓が数多く設備されていますが、対流の微調整と高温を排出するには今一つ効果に納得するものが不足だとか。温室内は灯油のストーブが設置されサーモスタットで最低5度が維持されるように設定されてあります。
中に収容された植物は、かの有名な仙女盃をはじめ、ハオルチアの珍品、メセンの類、珍種の蘇鉄等が常時成長期の様なイメージで、それぞれの指定席に整然と並んでいます。特に、入り口付近の実生用スペースには、几帳面にラベルの立てられた幼苗がギッシリ、発芽したままのもの、植え替え済みで春を待ちかねているものなど将来の植物を連想すると期待が膨らみます。
圧巻は温室と対応する場所を占める特注アルミフレームで、この設計図は今回小フレームを計測して頂いたものです。各部分が必要に応じて取り外せたり、断熱資材を自由に挟み込めるようになっており、設置の高さは百葉箱程度、周囲に加えて上下からも通風が図れる様になっているにもかかわらず、各部に鍵が掛かるため風による被害を受け難くなっています。
小フレーム1台で2.5号鉢だと140鉢ならべられるものを2台連結、大フレームは長さ2700、全体高さ1200、フレーム前面高さ400、後部700、暖房は500wの温風器一台で雪の中でも0度を割り込まぬように置く場所に工夫がなされており経済的配慮も伺えます。
蓋、窓、サイドは透明な園芸用のユーピロン(商品名)を両面テープで張付け、5月半ばから9月末まで通風のため床は簀の子板に交換、入梅開けから8月末~9月の植え替えまで黒の寒冷紗(50%)を使用、台風時期は紐で蓋を縛るそうです。
小フレーム窓開放 | 小フレーム2連 | 大フレーム設置状況 |
中には写真の様なメセンを主とした高級品が大株に成長しており、全面から陽光を浴びた植物は健康な堅作りで鉢が隠れるほど…はちきれそうに膨らんで寒さを克服した、北国育ちの健康美を主張しています。
良い植物を育てるには、それなりの設備が必要ですが、特に全自動にしなくとも細部に亘って経験を生かした設計は、これから設備を考える場合の大きな参考になる事と思います。
Encephalartos horridus | Conophytum verrucosum | Stapelia pulvinata |
以上