【サボテン教室】 ダシリリオン・ロンギッシムム(アガベ科) Dasylirion longissimum


(本記事は、旧ホームページの2003年11月26日の記事を再掲したものです。)

多肉植物の一員にはなっているが一般趣味家の手には負えないユッカタイプの樹である。成株は直径20~25センチ、高さ1~2mの幹を立ち上げ、頂部に細く長大な葉を繁らせる。

 

 






ダシリリオン・ロンギッシムム(アガベ科)
Dasylirion longissimum


平尾 博
 多肉植物の一員にはなっているが一般趣味家の手には負えないユッカタイプの樹である。成株は直径20~25センチ、高さ1~2mの幹を立ち上げ、頂部に細く長大な葉を繁らせる。長さを強調した学名がついている通り、葉長2mまたはそれ以上、細い角棒状で太さは基部で1㎝、中間部で5mm程度。アガベの吹上の6~7倍の長さの葉が壮大に展開する姿を想像していただきたい。
原産地はメキシコ東部の原野で、遠望すれば見惚れるような樹形なのであろう。ヤコブセンの「多肉植物レキシコン」では”優美”と形容している。
 30年(?)前私は本種を実生した。若苗のうちは多少邪魔になるだろうが、その期間さえ我慢すればやがて成木となり、植物園でも見られない壮麗な葉の展開を見上げる日が来ることを夢見たのである。
耐寒力は予想以上で、実生2年目(?)に露地植えしたが、凍結の兆候は全くない。30余年の間、-6~-7℃の気温が何回もあったが無傷で過ごせた。
葉の長さだけは記述通り2mを越えた。最大の目算違いは生育が極めて遅いこと。幹の高さは現在せいぜい15㎝。2mの葉が展開すれば4m四方には近づけない事になる。
当然そんな余裕はないから邪魔ものの代表格としてご覧の通り一年中紐で括っているわけである。長い葉を見上げられるような高さになるにはあと何年かかるだろうか。栽培の継承を次世代の誰方かにお願いしなければならない。
 本種にかぎらず、自分一代では完成しな寿命の長い植物と何年かを共に生きることも園芸の楽しみの一つと思っている。